展開オルソ(円筒・円錐台)
煙突・タンク・サイロなど円筒・円錐台の構造物を、3Dモデルから全周1枚の展開画像にする方法を解説。円筒と円錐台の開き方の違いも図解します。

ぐるりと一周を、
1枚の紙のように。
この章でできるようになること
- 煙突やタンクの全周を1枚に開く
- 推定した形が合っているか確かめる
- 可視と赤外線の展開画像を同時につくる
- 展開画像の上で実寸で測る
先細りの煙突も、3Dモデルから形を推定して全周を1枚の画像に開けます。文字やサビの筋、温度の高い点の並びが、ぐるりと一周ぶん1枚で見渡せます。


展開オルソとは
タンク・サイロ・煙突・円形の建物のように壁面が曲面の対象は、平面を前提とした通常のオルソ生成では正しく展開できません。面ごとにオルソを作っても、曲面部分が引き伸ばされたり途切れたりします。
展開オルソは、3Dモデルから対象の形(円筒、または先細りの煙突のような円錐台)を推定し、その面に画像を投影して全周を1枚の画像に展開します。出力画像は、横が円周方向の弧長、縦が高さです。円筒は長方形、円錐台は扇形に展開され、長さ・面積は実寸どおりに測れます。



円筒展開とは ― ハサミで切って、開く
紙の筒を思い浮かべてください。縦に1本ハサミを入れて開くと、筒は1枚の長方形になります。横幅は筒の周の長さ、縦は高さ。展開オルソの横軸が「円周方向の長さ」、縦軸が「高さ」なのはこのためで、画像の左右の端は、もともとつながっていた切れ目どうしです。
先細りの煙突のような円錐台を同じように切って開くと、扇形の帯になります。上の周が短いぶん、上の弧も短くなるわけです。もし無理に長方形へ押し込むと、細い上のほうほど横に引き伸ばされ、場所によって縮尺が変わってしまいます。扇形のまま開けば、どこで測っても長さ・面積が実寸どおりです。
CRITIR は3Dモデルから軸と太さ(円錐台なら高さによる太さの変わり方)を推定し、その面に写真を貼ってから切り開きます。とっくり型のように、太さが一定でも直線的でもなく変わる形は、紙のように素直には開けないため対象外です。
v2.6.0 で円錐台の展開に対応しました。また、バルコニーなどの張り出しがある円形建物でも、張り出しを除いて壁面の形を推定できるようになり、展開の品質と速度も改善しています。
起動
ツールバーの 処理 ▾ → 画像リンク・オルソ・3D生成 でウィザードを開き、左のレールで その他のオルソ の下の 展開オルソ を選びます。メイン画面で現在開いているセットが対象です。
展開オルソは PRO プランの機能です。詳しくは プランと機能 を参照してください。
前提条件
展開オルソには、通常のオルソ生成より多くの前提があります。
| 条件 | 説明 |
|---|---|
| 画像リンク(SfM)が完了している | 先に同じウィザードで画像リンクを実行してください |
| 3Dモデルが生成済み | 形の推定と遮蔽の判定に3Dモデルを使うため必須です。3Dモデルを参照してください |
| 3Dモデルが現在の画像リンク結果と一致している | 画像リンクをやり直した後は、3Dモデルも生成し直してください |
| 対象の全周が撮影されている | 一部しか撮影していないと形を推定できません |
条件を満たしていない場合は、形状の確認の欄にその理由が表示されます。3Dモデルが無い場合は、その欄の 3Dモデルの設定を開く ボタンから直接進めます。
太さが高さに対して一定でも直線的に変わるのでもない形(とっくり型など)は、円筒・円錐台のどちらにも当てはまらないため展開できません。
ウィザードの画面
展開オルソのウィザードは1ページで、上に「形状の確認」、下に「出力設定」が並びます。開くと自動的に形の解析が始まり、解析が終わるまで 生成開始 は押せません。
形状の確認
3Dモデルから円筒・円錐台を推定し、展開できるかを判定します。上面図で、対象の輪郭(水色)に推定した円(赤)が乗っていることを目で確認してください。円錐台の場合は頂部の円(橙)も表示されます。
判定結果として次の情報が表示されます。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 形状 | 円筒 / 円錐台(上すぼまり) / 円錐台(下すぼまり) |
| 直径 | 推定した直径(円錐台では下→上の2つの値) |
| 高さ範囲 | 展開する高さの範囲 |
| 周長 | 全周の長さ(円錐台では下→上の2つの値) |
| 全周被覆 | 全周のうち画像が撮れている割合 |
| 使用画像数 | 展開に使われる画像の枚数 |
| スケール | 実寸の出どころ(下記) |
スケールの表示は3種類あります。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| 既存オルソから継承 | 生成済みオルソのスケールをそのまま使用 |
| GPS(Helmert)から推定 | 撮影位置のGPSから推定 |
| 未解決(シーン単位のまま) | 実寸が未確定。直径・周長などはシーン単位で表示され、出力の mm/ピクセルは実寸として保証されません |
「未解決」と出たら、先に1本測っておく
スケールが 未解決(シーン単位のまま) のときは、スケール設定で既知距離を1本登録してから生成しましょう。実寸に基づいた展開画像になり、mm/ピクセルも実寸として扱えます。
出力設定
生成する成果物を 可視光オルソ(初期値)または 可視光 + 赤外線オルソ から選びます。赤外線を選ぶと温度の展開オルソも同時に作ります(処理時間が増えます)。可視画像とサーマル画像のペアが無いセットでは、赤外線は選べません。
出力解像度は自動で決まります。形状の解析が終わると「自動解像度: 約 X mm/ピクセル」と推定出力サイズが表示されます。出力幅は 16,000px が上限で、これを超える場合は解像度が自動的に調整されます(「上限により解像度を自動調整」と表示されます)。
生成の開始
生成開始 をクリックすると展開処理が始まります。
出力について
- 出力は対象の全周を1枚に展開した画像です(横=円周方向の弧長、縦=高さ。円筒は長方形、円錐台は扇形)
- 生成後はオルソの一覧(成果物)に、種別 円筒展開 または 円錐台展開 として追加されます
- オルソビューワーで表示・測定できます
- GeoTIFF は出力されません(展開面は地理座標系に対応しないため)
- スケールが未解決のセットでは、実寸の mm/ピクセルは保証されません
