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ガイド

3Dモデル

写真から建物や擁壁・トンネル坑口などの構造物の3Dモデルを生成し、赤外線の温度を貼り付けて立体のまま調べる方法を解説。写真から立体ができるしくみ(三角測量)も図解します。

CHAPTER 09

写真の山が、
ぐるりと回せる建物になる。

この章でできるようになること

  • 写真から建物の3Dモデルをつくる
  • 生成範囲を絞って対象を細かくする
  • 温度を貼った温度付き3Dで調べる
  • ムラ強調で局所的な温度ムラを探す
9 分で読めます

CRITIR では、画像リンクの結果から壁面・構造物の 3Dメッシュ を生成できます。生成した3Dモデル上では測定結果を確認でき、赤外線を投影して 温度付き3Dモデル として解析することもできます。

住宅の可視3Dモデルと温度付き3Dモデル
可視3D温度付き3D
⇆
写真から復元した住宅の3Dモデルと、赤外線の温度を貼り付けた温度付き3D。境界をドラッグして見比べられます
城
城松本城
擁壁
擁壁コンクリートの擁壁
トンネル
トンネルトンネルの坑口
COLUMN

写真から立体ができるしくみ

同じ点を、別の位置から撮る写真 1写真 2写真 3方向が交わる点 = 位置① 画像リンク位置・向きと疎な点② 写真ごとの深度近くの写真と見比べる③ メッシュ点を統合して面に④ テクスチャ写真を貼る

1枚の写真からは、ある点が「どの方向にあるか」しか分かりません。ところが同じ点を別の位置から撮った写真がもう1枚あれば、2本の方向が交わるところが、その点の位置です。測量でおなじみの三角測量と同じ考え方です。

CRITIR の画像リンクは、写真どうしで共通の特徴点を見つけ、各写真のカメラの位置・向きと、まばらな点の位置を同時に求めます。続いて写真ごとに、近くの写真と見比べながら1画素ずつ奥行き(深度)を推定し、無数の点を集めます。

最後に、その点を統合して表面(メッシュ)をつくり、元の写真を貼り付けて(テクスチャ)完成です。生成中の進捗表示に出る「写真ごとの深度を推定中...」「テクスチャを生成中...」は、この工程を順にたどっています。

3Dメッシュの生成

ウィザードの起動

以下のいずれかから画像リンク・オルソ・3D生成ウィザードを起動し、ウィザード左側のレールで 3Dモデル を選びます。

  • ツールバーの 処理 ▾ → 画像リンク・オルソ・3D生成
  • 右サイドパネルの 3D タブ → 3D生成 ボタン(3D未生成時に表示)

GPU は必須ではなく、GPU(NVIDIA・AMD・Intel)があれば使って処理し、無ければ CPU で同じ品質の結果を作ります。違うのは所要時間だけです。

ウィザードの3Dモデル設定ページ
3Dモデル設定。右下の「実行される処理」に、どの工程を再利用し、どれを新しく作るかがまとめて出ます

ウィザードの手順

3Dモデルの手順はオルソ生成と同じ骨格です。3Dモデル設定 ページで生成する成果物を選び、画像リンクを済ませてから 生成範囲 を確認し、必要に応じて スケール設定 で実寸を与えてから生成を開始します。

ページ内容
3Dモデル設定生成する成果物・実行される処理のサマリ
生成範囲疎点群を見ながら、対象を箱で絞る
スケール設定(任意)既知の寸法を計測して実寸を与える。何も入力しなければ、GPS をもとにしたスケール(GPS が無ければ補正なし)で生成します。詳しくは スケール設定 を参照してください

設定ページのボタンは、画像リンク(SfM)を新しく計算する場合は 画像リンクを開始、既存の画像リンク結果を再利用する場合は 次へ (生成範囲) → になります。画像リンクを新しく計算する場合はウィザードが数秒後に自動で最小化され、完了するとメイン画面に通知が出ます。通知の 生成範囲を確認 から戻ると、生成範囲のページが開いています。

生成範囲

3Dモデルは、対象を囲む空間全体を一定の細かさで区切って生成します。そのため、実際に見たい構造物のまわりに広い空地や遠景が含まれていると、同じ計算量が無駄な空間にも配分され、肝心の対象が粗くなります。範囲を絞ると、同じ計算量のまま対象だけが細かくなります。

初期値は、同じ画像リンク結果で前回使った範囲があればその範囲、無ければカメラ位置から自動で決めた範囲です。

操作説明
自動 / 全域 / 前回初期値を選び直す。全域 は範囲を指定しない(前回の範囲があれば解除する)
上 / 正面 / 側面 / 全体3Dビューの視点を切り替える
横 / 高さ / 奥行き各軸のスライダーと数値欄(メートル)。3D上の面ハンドルをドラッグしても動かせる
水平回転箱を水平方向に回す。斜めに建っている対象でも箱をぴったり合わせられる。リセット で回転を戻す。3D上の回転ハンドルをドラッグしても回せる

画面右には、指定中の範囲のサイズ・範囲内に残る疎点の数・範囲を見ている画像の枚数が表示されます。この数値を見ながら、対象が欠けない範囲でできるだけ狭く絞るのが目安です。

空き地は箱の外へ追い出す

生成範囲は、対象が欠けない範囲でできるだけ狭く。まわりの駐車場や遠景を箱の外に出すだけで、同じ計算量のまま建物のディテールが細かくなります。

既存の3Dモデルを再利用する設定でも、生成範囲のページは表示されます。再利用中に範囲を変更した場合は、新しい範囲を反映するため3Dモデルを作り直します。疎点群を表示できない場合は、範囲を指定せずにそのまま生成できます。

3Dモデル設定ページ

設定説明
生成する成果物可視光3Dモデル / 可視光 + 温度付き3D の2択のカード(下記)

ページ下部の 実行される処理 に、画像リンクから写真テクスチャまでの各工程について、既存を再利用するか新しく生成するかがまとめて表示されます。

詳細設定 を開くと、次の項目を変更できます。通常は既定値のままで問題ありません。

設定説明
繋ぎ目の処理(温度3Dのテクスチャ)多視点をブレンド(繋ぎ目を滑らかに) / 面ごとに1枚(輪郭を優先)。温度付き3Dを選んだときだけ有効

既存の3Dモデルの再利用

ウィザード左側のレールの 再利用 欄に、画像リンク結果や3Dモデルを再利用するか(既存を再利用 / 作り直す / 新規作成)が表示されます。変更… から再利用の設定を切り替えられます。

同じ画像リンク結果で3Dモデルを生成済みの場合は、再利用の設定で既存の3Dモデルを作り直さずに使う項目をオンにすると、そのまま使えます。

再利用できるのは、現在の方式で作った3Dモデルだけです。以前のバージョンの方式で作った3Dモデルは再利用できず、新しく作り直します。

生成する成果物(温度付き3D)

3Dモデル設定ページの先頭にある 生成する成果物 で、温度付き3Dを作るかどうかを2択のカードから選びます。

選択肢説明
可視光3Dモデル(初期値)写真テクスチャ付きの3Dモデルだけを生成します
可視光 + 温度付き3D上記に加えて、メッシュに赤外線の温度を投影した 温度付き3Dモデル も生成します(処理時間が増えます)

可視光 + 温度付き3D を選んだときだけ、詳細設定の 繋ぎ目の処理 が有効になります。多視点をブレンド は繋ぎ目が滑らかになり、面ごとに1枚 は輪郭がシャープになる代わりに繋ぎ目が出ることがあります。

温度付き3Dには可視・赤外線のペアとアライメント較正が必要です。ペアが見つからないセットでは 可視光 + 温度付き3D を選べません。温度の投影はテクスチャ生成後に実行されます。

生成の開始

最後の スケール設定 のページで 生成開始 ▶ をクリックします。処理には画像枚数やPCスペックに応じて時間がかかります。生成中は、メイン画面の進捗表示に「写真ごとの深度を推定中...」「テクスチャを生成中...」のように現在の工程が表示されます。

生成を始めると、書き込みを始める前に必要なディスクの空き容量を見積もって確認します。不足している場合は処理を中止し、必要な容量の目安と現在の空き容量(例: 「必要 約20 GB / C: 空き 12 GB / 全体 476 GB」)を表示します。不要なファイルを削除してからやり直してください。

3Dビューワー

生成した3Dモデルは、右サイドパネルの 3D タブから閲覧できます。上部のツールバーで表示を操作できます。

3Dビューワーのツールバー

1 表示 2 カラーマップ 3 温度の種類 4 測定ラベル 5 カメラ枠 6 クリップ 7 水平 8 全体表示 9 地図 10 オルソ作成

ツール説明
表示可視3D / 赤外線3D / 点群 の切替(切り替えられる表示が2つ以上あるときに表示)。赤外線3Dは温度付き3Dを生成済みの場合のみ
温度の種類補正した温度 / 実測温度 / ムラ強調 の切替(赤外線3Dの表示中のみ。下記)
カラーマップ温度の配色を10種類から選択(赤外線3Dの表示中のみ)
測定ラベル名前 + 測定値 / 名前のみ / 非表示、サイズ、cm / ㎠ 表示
カメラ枠各写真の撮影位置枠を表示(既定オフ)
クリップ幅 / 高さ / 奥行き の各軸について、下端・上端の2つのハンドルで範囲を決めて断面表示(目盛はメートル)
水平シーンの水平化。自動水平(初期値)/ 元の向き の切替と、上方向の手動指定
全体表示シーン全体が収まるよう視点を調整
地図撮影位置(GPS)をもとに、3Dモデルを地図の上に表示します。地図に置けないセットでは表示されません
オルソ作成この3Dモデルの上で面と範囲を指定して、オルソ画像を作成します。ウィザードを通さず、範囲の指定画面が直接開きます(出力設定は既定値、スケールは保存済みの設定を使用)。ツールバー右端。3Dモデルがあるときのみ

水平 は、撮影時のジンバル角やカメラの姿勢から地面の向きを自動で推定し、モデルを水平に立てて表示します(自動水平が初期値)。推定できない場合や、結果が傾いて見える場合は、上方向を手動指定 の「前後の傾き」「左右の傾き」で調整できます。

3Dタブには、セットでいちばん新しい3Dモデルが表示されます。オルソとは別の画像リンク結果から作られていることがあります(成果物の一覧の 表示中:3Dモデル で確認できます)。

地図 の表示中は、クリップ・水平・表示の切替・オルソ作成は使えません。点群 の表示中も オルソ作成 は使えません。

点群表示

表示 で 点群 を選ぶと、3Dモデルの元になった点群を表示します。

3Dモデルと点群の比較
可視3D点群
⇆

表示のみで、面の選択はできません。3Dモデルをまだ生成していないセットでも、画像リンクの結果があれば、その点群を3Dタブで確認できます。

測定結果の投影

画像上で作成した測定結果は、3Dモデルの表面にも自動的に投影されます。3D空間上で測定箇所の位置関係を確認できます。

3Dモデルの表面を右クリックして 同一地点検索 を選ぶと、その地点が写っている元画像を探せます(同一地点検索、PRO プラン)。

温度付き3Dのインタラクティブ解析

温度付き3D(赤外線3D)を表示している間は、通常のビューワーと同様に温度を対話的に解析できます。

  • 温度の種類 — 補正した温度 / 実測温度 / ムラ強調 を切替
  • カラーマップ — 10種類のパレットから選択
  • 温度バー(下部) — 表示範囲を調整
  • カラーバー(右側) — アラーム閾値を設定

ツールバーの 温度の種類 で、赤外線3Dに表示する温度を選べます。

補正した温度とムラ強調の比較
補正した温度ムラ強調
⇆
ムラ強調では、周囲の同じ向きの面との差だけが残ります
温度の種類説明
補正した温度(初期値)写真ごとの温度のずれ(撮影中のドリフトなど)を重なりから推定して取り除いた温度です。全体の温度分布を見るのに向きます。写真1枚の測定値とは数℃違うことがあります
実測温度写真の測定値をそのまま貼った温度です。撮影時刻の違う写真の境目が色の段差として見えることがあります
ムラ強調補正した温度と、周囲(約0.5m)の同じ向きの面の平均との差です。浮きなどの局所的な温度ムラを探すのに向きます

浮き探しは「ムラ強調」で

建物全体の温度の傾向は補正した温度で、局所的な温度ムラを探すときはムラ強調で。日当たりの違いによる面ごとの温度差が消えて、周りと違う場所だけが浮かび上がります。

温度付き3Dは色を焼き込まず、表示時に都度着色します。そのため、表示範囲・アラーム閾値・カラーマップを後から自由に変更できます。以前のバージョンで生成した温度付き3Dでは、温度の種類 が表示されない場合があります。

レポート・HTMLビューワーでの活用

  • レポート — 詳細票の画像ソースに 3D を選ぶと、各写真の撮影位置を3Dモデルから俯瞰した撮影位置図を掲載できます。詳しくは レポート作成 を参照してください。
  • HTMLビューワー出力 — 3Dモデルを生成済みの場合、HTMLビューワー出力に自動的に同梱され、ブラウザ上で3D表示ボタンから閲覧できます。

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